「幸福の黄色いハンカチ」という映画がある。山田洋次監督の作品で、1977年に公開された映画だが、この中に、ある男が、幸せな結婚に破れて未練を残しつつも別れた元女房に対して、その後殺人を犯して前科者となってしまった自分が刑期を終えて帰ってきた時、もしまだ自分のことを待ってくれているなら、家の前に目印として黄色いハンカチを下げておいてくれと約束するという話が出てくる。
この映画にヒントを得て、高齢化と過疎に悩む徳島県三好市東祖谷(ひがしいや)などでは、各住民が毎朝、家の外に赤い旗を掲げて自分は健康だと知らせると共に、自分が出歩く際には、皆の家に赤い旗が出ているかどうかを確認して、地域の絆を深め合っているそうだ。
因みに、赤い旗は、地元に伝わる「平家落人伝説」の中に出てくるもので、共産党とは関係がない。
一般に、自分のことを気にかけてくれる人がそばにいるということは、当人に何より深い安心感を与えるし、外に出た時に、仲間の家の赤い旗を確認するというルーティーン・ワークがあるということは、人の心を落ち着かせるので、精神的にもとてもよいのではないかと思う。
勿論、これは、日本に限った話ではなく、例えば、オーストラリアのクイーンズランドなどでも同じような動きがあるようだ。こちらは、老齢者が近所の友人などと、毎朝窓のところに赤い旗の代わりにキッチン・タオルを干すようにしているそうだ。
このような印は、夫婦間や、家族間や、恋人間や、友人間などでも、いろいろ決めて使うことができるだろう。
例えば、夫から妻に対して、オレの部屋を勝手に掃除しないでくれとか、明日は朝ゆっくり寝かせておいてくれとかいう合図があってもよいかもしれない。
そう言えば、政治の世界にも、最近合図が使われたことがあった。2011年8月29日の民主党代表選挙で、海江田氏と野田氏の決戦投票の前に、鹿野道彦氏が上着を脱いで、自分の支持議員に対して野田氏への投票の合図としたのである。
そういう目で国会審議を見てみると、野田首相は、国民に対して一所懸命に何かを合図しようとしているのかもしれない。その合図とは、もしかして、ドジョウはもう疲れたので、泥の中に身を隠したいということなのではないだろうか。


by yasutaroh
中国の権力闘争の苛烈さ